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●ラブストーリー春香伝 (2009.8.13) 

(6)密かな結婚式
 
  (身分の違いで正式な結婚ができないふたり)


 道令(ドリョン)様はその一言を聞いて、口を開き、
「とんでもありません。偶然、広寒楼(クァンハンロ)で春香(チュニャン)をちらりと見かけ、恋々と未練がましく思う日々を送った探花蜂蝶(たんかほうちょう:女性を好む男性)に酔ったこの心なのです。今夜来た理由は春香のお母さんに会うことだったのです。あなたの娘春香と一生涯の約束を結ぼうと思いますが、お母さんの気持はいかがでしょうか?」

 春香の母が答えて、
「恐れ入りますが私の言葉をお聞き下さい。紫霞洞(チャハゴル)の成参判令監(ソンサンパンれいかん:年を取った夫を称する語)が、補後(ほご:内職に入る前に臨時に外官に補任すること)として南原(ナモン)に住まわれた時、トンビをタカと見間違えたのか、妓生(キーセン:芸者)である私を寝室に仕えるよう(※愛人となるよう)に言われ、官長の命令に背くことが出来ずに仕えたのです。そして三か月の内に思いもかけず懐妊し生まれたのがあの子です。そんな因縁を成参判(ソンサンパン)に申し上げたら‘その子を乳飲みの時期が過ぎれば連れて行くよ’と言われましたが、その両班は不幸にも世を捨てられた(年で亡くなった)ので連れて行くことは出来ず、あの子を私が育て始めました。

 幼い頃あれこれと病気が絶え間がなく、七才で小学を読ませ、修身斉家(しゅうしんさいか:自分の行いを正しくし家庭をととのえること)や和順心(和して順応する心)を一つ一つ教えましたが、父の血筋を引いた子供なのか何もかもできて、三綱行実(さんこうこうじつ:儒教の道徳で基本になる三種類の綱領で忠臣・親孝行・貞操を守る行動)を守るので誰が私の娘だと思うのでしょうか。家運が衰えて宰相の家にはおろか、さむらい、庶人の上下にもめぐり会えず、婚姻が遅くなり、いつも心配していたです。

 道令様のお言葉ではいきなり春香と一生の契りを交わすというお言葉ですが、そんなお言葉はやめにしてしばらく休んでからお帰り下さい」  
 と言ったのですが、この言葉は母親の本心からではなく、李道令が春香を迎えるというので、先のことは分からないが本当は後押ししたいという言葉でした。

 李道令は呆れ返って、
「好事魔多し(こうじまおおし:物事がよく進んでいる時ほど意外な落とし穴が多い)だな。春香も私も未婚なのだからお互いの口約束だけで、六禮(ろくれい:中国の結婚儀式)はしなくても両班の息子が二枚舌を使うようなことはあり得ません」

 春香の母はこの言葉を聞いて、
「もう一度、私の言葉をお聞き下さい。古い書で言われたのは、臣下の心を君主のように知る者はほかになく、息子の心を父親のように知る者もほかになく、娘の心を母親のようにに知る者はほかになし、ではありませんでしたか? 私の娘は私が知っています。小さい時から切実な願いがあり、もしかして健康を損ねはしないかと心配です。一人の夫だけに仕えなさいと言い聞かせ、どんな行いでも鉄や石のように固い意志は、青い松、緑の竹、モミが四季を競うようになり、桑の畑が碧海のようになったとしても私の娘の心が変わることはありません。金銀の宝物を山のように積まれても受け取りは致しません。白玉のような私の娘の心は清風にも匹敵します。

 ただ、昔のように大きな志である一片丹心(一途な心の守節)を模範にしようというのですから、道令様が欲張って今春香と縁を結んだとして、未婚の道令様がご両親に内緒で深い愛を金の石のように結んだことを後でみんなに知られて、春香を捨てるようなことがあったとしたなら、玉のような肌の娘の身の上は、模様の素晴らしい玳瑁(ウミガメ)や真珠、美しい珠などに穴を開けるときに壊れてしまうようなものです。清江に遊ぶおしどりが一方の羽を失ったといっても、私の娘の心は変わるようなことはないでしょう。道令様の本心が言葉通り、一生の契りというからには、このことを深くわきまえて行動して下さいますように」

 

 道令様はますますじれったくなり、
「そのようなことは、二度と再び心配しないで下さい。私の心を推し量ってみると、ことのほか懇切で、堅固な心が胸の中に一杯になっているのです。身分に応じた義理は違っていても,彼女と私の生涯の約束を結ぶ時は奠雁礼(チョナンレ:雁を捧げる結婚儀式の一つ)などなくても、蒼い波のように深い心をもつ春香の事情を知らないですむはずがありません」

 このような話をしましたが、藍色と赤色の絹糸でする六禮の儀式を整えてから会ったとしてもこれ以上にきちんとした言葉が言えるでしょうか。

「私は、彼女を初めての結婚相手とすると考えているのだから、正式な両班ではない身分であることは心配しないように。また未婚であるということも心配しないで下さい。この広い心の男が決心したからには、どうして冷く捨てたり出来るでしょうか? 是非結婚を承諾して下さい」

 春香の母はこの言葉を聞いて、しばらく座っていましたが、夢で予兆があったのでこれも縁だろうと、喜んで承諾しました。
「鳳凰が次々と出て、将軍が出てくると龍馬が出て、南原の春香が出れば李花(すももの花)の春風が華のようです。香丹(ヒャンダン)! 酒膳の準備は出来ているかい?」

「はい!」  
と答えて、酒肴を調える時の酒の肴を見ると,その美しい様は清潔瀟洒(しょうしゃ)で大きな皿には牛カルビの煮物、小さな皿には豚カルビの煮物、ぴちぴち跳びはねる鯔(ぼら)の煮物、ばたばた飛ぶ鶉(うずら)の汁に、東莱(トンネ)、蔚山(ウルサン)のあわびを、よく切れる包丁で、孟尚宮(メンサンボク:正五品の女官)の眉毛のような形に薄く斜めから切り揃えておいて、牛の心臓、猪、内臓の妙め物と、春に鳴く野生のキジの脚、赤壁平鉢の分院(陶器を作った役所)製の器に冷麺までも混ぜておいて、生栗、蒸栗、松の実に、胡桃(くるみ)、棗(なつめ)、石榴(ざくろ)、柚子(ゆず)、干柿、梅桃(ゆすらうめ)の実、湯器(汁物や鍋物を盛る器のような青い梨)を、見栄えがするように美しく飾りましたが、酒瓶の飾りつけを見ると、塵のない碧玉瓶(へきぎょくびん)と青い珊瑚瓶と葉落金井(ヨッラックムジョン:中国にある島)の烏銅瓶(オドンびん:赤銅。金と銅の合金でできた瓶)と首の長い蒹(こうのとり)瓶、スッポンの形をした瓶、唐画瓶、砕金(さいきん:砕いた金)の瓶、瀟湘洞庭(ソサンドンジョン:斑竹の美しい地名)の竹節でできた瓶、その間に品質の良い銀で作った酒煎子(チュジョンジャ:酒をいれるヤカン)、赤銅のヤカン、砂金のヤカン等を順に置きました。漏れなく揃えていて、見事なものでありました。

 酒の名前を挙げると、李謫山(イジョクソン)の葡萄酒と安期生(アンキセイ:秦の時代の仙人)の紫霞酒(ジャハジュ:露を受けて作った酒)と山林處士(サンンリムチョサ:引退して山里に暮らす人)の松葉酒と過夏酒(クァハジュ:焼酎にきゅうりを入れたお酒)、方文酒(ムンバンジュ)、千日酒、百日酒、金露酒、かっかと熱くなる火酒(ファジュ)、薬酒、その中から香りのよい蓮葉酒を選び出し、卵のように丸い酒煎子(チュジャンジャ)に一杯に注ぎ、鉄でできている七輪の白炭の火で鍋の水が沸いている中に、丸い酒煎子を入れて、冷たくも熱くもないようにお爛をつけて出し、金の盃、玉の盃、オウムのくちばしのような盃を、その中に浮かべましたが、玉京の蓮の花が咲く所に太乙仙女(テウルソンニョ:天国にいる天女)が舟を浮かべるように、大匡輔国(テグァンボグ:官職の名)が蓮の花と葉、領議政(ヨギジョン:官職の名で、王様のすぐ下の位)が芭蕉扇(ばしょうせん)を浮かべるように、ぽっかりと浮かんでいるのでした。

 酒を勧める歌の一つの曲調に併せて♪一杯、一杯、もう一杯だ。 と歌いました。

 李道令が言うには、
「今夜のこの儀式を見ると官庁でもないのにどうしてこんなに公式な道具をそろえているのですか?」

 

 春香の母が言うには、
「私の娘春香が美しく育ち、窈窕(ようちょう)たる淑女となり、君子の配偶者として選ばれ、琴瑟(きんしつ:楽器のひとつ)を友とし、生涯を共に楽しむ時には、私の主人の部屋に遊びにきた客の中には英雄豪傑や一門の長者達や竹馬の友人達と昼夜主人が楽しまれる時、内室の召使を呼んで食膳、酒膳をたのむときに、それらを見て学ぶことが即ち一番の勉強になったのです。妻が敏捷(びんしょう)でなければ夫の顔を潰すことになるので、私が代々受け継いでいくことを精一杯教えてくれぐれも称賛される行いを娘にさせようと思って、お金が出来たら買い集め、自らの手で作って目にも慣れ、手にも慣らそうと少しも遊ぶことなくさせた甲斐があったと思いますから、不足をおっしゃらずたくさんお召し上りになって下さい」
といって、オウムの盃になみなみと酒を注いで道令様に差し上げました。

 李道令は盃を受け、手に持ってため息をついて言うには、
「私の思い通りにするのなら六禮を行うべきであるが、それが出来ずに犬くぐりの穴を通るような夫(内密の夫)となってみれば本当に悔しい事です。春香! しかし私達二人、これが大禮(結婚の儀式のひとつ)の酒と思って飲もうではないか」

盃一杯に酒を注いで手に持って、
「私の言葉を聞きなさい。一杯目は挨拶酒で二杯目は合歓酒だが、この酒は他のどの酒でもなく、根源、根本となってわたしたちの縁を結ぶのだ。舜帝時代の娥皇(がこう)と女英(じょえい)が珍しく出会った縁を人は珍しいといっているが、月下氷人(げっかひょうじん:結婚の仲人)による我々の縁、また、三生にわたる夫婦の契りを結ぶ縁、それと千万年でも変わらない縁が、代々、三議政、六判書の中で子孫が大いに栄え、子、孫、ひ孫、その次の孫を膝の上に座らせておいて、にぎにぎと、からんからんと鈴を鳴らしてあやし、百才まで生きて、同日、同時、向き合って寝て、先後なく死ぬことになれば天下で最上の縁ではないか」
と言ってから、盃を持って飲んだ後で、

「香丹! 酒を注いで奥方様に差し上げなさい」
「お母上、めでたい酒ですから一杯お召し上り下さい」
と勧めました。

 春香の母が盃を持って、悲しみと喜びを交えながら言いました。
「今日は、私の娘の生涯の苦楽を結ぶ日なのにどうして悲しいはずがあるでしょう。ただあの子を育て上げる時、父をなくして育て,この日を迎えたので主人のことを思い、切なく悲しいのです」


 道令様が言うには、
「過去のことを考えるのはやめてお酒でもお飲み下さい」
 春香の母は二、三杯飲んだ後で,道令様の通引(トンイン)を呼んで、食膳を片付けながら、
「お前も飲んで、房子(パンジャ)にも飲ませなさい」
 通引と房子が膳を取り出し飲んだ後で、大門、中門を全部閉めて、春香の母は香丹を呼び、寝室を整えにいきました。そして、オシドリの寝具、松の実の枕と、明星のようなおまる、タライまで整えて寝床の用意をきちんとして、いいました。
「道令様、お楽にお休み下さい」
「香丹、出ておいで。私と一緒に行きましょう。」
と言って、二人とも他の部屋に戻って行ったのでした。

(つづく)

 

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