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●ラブストーリー春香伝 (2009.8.20) 

(13)獄中の長嘆歌

 三十三天(六欲天の第二天)が、幼い心を玉皇の前に申し上げようと、玉のような春香の体から飛び出した流血で、流れ出したのが涙でした。血と涙が一緒に流れ、武陵桃源の紅流水(ホンリュス)となりました。春香がますます声を張り上げて言うには、
「小娘をこんな目にあわせず、首を切るなり、打ち殺すなり、殺してくれれば、後で悔しくて死んで鬼神となった怨鳥(おんちょう)という鳥となり、楚国の王が怒りによって生まれ変わった楚魂鳥(チョホンジョ)とともに鳴き、悲しい風景にある明るい月の夜に、私の道令様が眠った後で、願わくば夢から目覚めますように」
と、言葉も途切れて、気絶したのですが、腹這いになって数を数えていた刑房の通引(トンイン)が頭を上げて涙を拭い、鞭を打っていた使令(サリョン)も涙を拭って背を向け、
「人の子がこんな仕業は出来ない」とつぶやくのです。

 左右で見物している人々と、刑を執行している官属(郡・府庁の下級官吏と下人)達は涙を拭い、背を向けて、
「春香が鞭打たれる姿は人の子としては見ていられない。我慢強い、我慢強いな! 春香の貞節は我慢強いことなのだ。この人こそ天が送った烈女にちがいない」

 老若男女の区別なく、互いに涙を流し、背を向ければ、使道(サド)といえども良い気でいられるわけがありません。
「お前、この娘! 官庁の庭で前後もわきまえず悪態をついたり暴れたりして、叩かれて何もよいことはあるまい。 まだこのような命令に逆らうつもりか?」

 半死半生の春香は、それでもますます声を張り上げて叫ぶのです。
「使道、お聞き下さい。死のうと決心しているこの心の内を、どうしてお分かりにならないのでしょうか。私の抱く恨みは、五、六月でも、霜となって降りてきます。悔しく怨めしく思う魂が空を往き来し、私たちの王様の座っている場所まで行って、この怨みを申し上げれば使道といえども無事にすむはずがありません。王様によって殺されるにちがいない」

 使道は呆れて、
「はっはっ!この女は始末に負えない女だ。大きな首伽を掛けて、獄につなげ」
と申し付けて、大きな首伽を掛け印封(首伽に官印を押した紙を貼ること)し獄長が背負って、参門の外に出て行ったのです。

 そのとき妓生(キーセン)達が出て来て、
「きゃぁ、漢陽のお人よ(春香のこと)! しっかり。あぁ、なんて可哀相!」
と駆け寄り、四肢をさすり、薬を塗ってあげ、互いに顔を見合わせて泣いていました。すると、背が高く、気配りのない落春(ナクチュン)が入って来て、
「よいよい、よいやさっと。私達の南原にも門のところに彫刻が出来たのかぁ」
と、よくみて、走りより、
「いや、春香! 可哀相に!」
と門のところでこのように騷いでいると、春香の母がこの話を聞いて、無我夢中で走って来て、春香の首を抱き、

「あぁ、これはどうしたことだ? 罪は何の罪で、鞭打ちは何のためだ! 将庁(チャンチョン)の執事様、秩庁(キルチョン)の吏房(イバン)様、私の娘は何の罪ですか。杖君房(刑を行う官庁)のお頭達や執行した獄長も、どんな怨みを抱いてのことですか? あぁ、なんてことを!七十の年まで老いたが、頼る人もないのに。無男独女(息子のない家の一人娘)の私の娘春香を、閨中(キュジュン)でこっそりと育て上げ、夜も昼も本だけを置いてやって、内側篇(良妻賢母の本)の勉強にかかりきりになっていたのです。

 春香が私を見て言うには、『おやめ下さい、おやめ下さい! 悲しむのはおやめ下さい。息子がいないといって悲しまないで下さい。母の実家に後継ぎがないために、外孫が代わりに祭祀を奉祀することが出来るではありませんか』と言うのです。母親にこの上なく尽くした真心は、郭巨(クァッゴ:漢の国の孝子)や、孟宗でさえ、私の娘以上ではないと思います。子供を可愛がる方法で上中下と違いがあるでしょうか。この私の心は、やり場がなさすぎる。心に火が付き、溜め息が煙となるようです。

 金番手よ、李番手よ、上からの命令が厳しいからといって、こんなにまでもひどく打つのか? あぁ、私の娘の打たれた所を見て下さい。氷雪のようだった二本の脚に、紅のような血のアザができています。名門家の未亡人や目の見えない娘でさえも男性を望むというのに。なのになぜ醜い妓生の月梅の娘が、こんな有り様でいようとは一体どういうことだ? 春香、しっかりしなさい。あぁ、あぁ、私の人生!」と言って、
「香丹(ヒャンダン)! 参門の外に行って、日雇いを二人ほど連れておいで。漢陽(ハニャン:ソウル)に急ぎの使いを送るんだよ」

 春香は、急ぎの使いを送るという話を聞いて、
「お母さん止めて下さい。それはいったいなんのお話ですか。もし使いが漢陽に行って、道令様が御覧になれば、世話をすべき人たちが多いのだから、どうしていいか分からなくなって、気持ちが塞いで病気にでもなったとしたら、それだって私の節操を破ることではないでしょうか? そのような話はおよしになってください。私は獄へ行くのですから。」

 

 獄長に背負われて獄へ入って行く時、香丹が首伽の先の方を持ち、春香の母もうしろについてきて、門前に到着し、

「獄刑房、門を開けて下さい。獄刑房は居眠りでもしているのかな?」
獄舍の中へ入って行き、獄房の様子を見回すと、壊れた竹窓の枠から肌を刺すほどの風が吹き込み、崩れた古壁や古いむしろから、ノミや南京虫が全身に忍び入るようなところでした。

 この時、春香は獄房で長嘆歌を歌い泣くのでした。
「この私の罪はなんの罪なのか

 国の倉の米を盗んだわけではないのに 
 厳しい刑で、重い鞭の刑とは何のこと

    殺人の罪人でもないのに
 首枷や足枷はどうしたこと
 刑律に反して、人の守るべき道に背いたわけではないのに
 四肢を縛るとはどうしたこと
 姦通罪でもないのに
 この刑罰はどうしたこと
 三江水(サンガンス)が硯(すずり)に注ぐ水となり
 青い空を一枚の紙として
 私の悲しみを哀訴し
 天国の玉皇上帝の前に差し上げたいのです
 夫を慕ってもどかしく、胸に火が付き
 溜め息は風となり
 ついた火で焼き尽くされ
 はかなく私は死ぬのですね
 ひとりで立っているあの菊の花は
 高い志操が神神しい
 雪の中の青い松は
 千古節(チョンゴジョル:永遠の節操)を守ったのだなぁ
 青い松は私と同じ
 黄色い菊の花は夫のようです
 悲しい想いに注ぐは涙
 濡らすは溜め息
 溜め息は清風として
 涙はきりさめとなり
 清風はきりさめを駆け抜けて
 吹いたり、ぱらついたり
 夫の眠りを覚ましたい
 牽牛と織女星は
 七夕の日に、出逢うとき
 天の川はそれを阻んでも
 約束を間違えたりはしなかったのに
 私の夫がおられる所に
 どんな川が邪魔しているのか
 便りさえもらえず
 生きてこんなに恋い焦がれるなら
 いっそ死んで忘れたいものを
 むしろこの身が滅びゆき
 人もいない山のホトトギスとなり
 梨の花が月で白ばむの真夜中に
 悲しく鳴いて夫の耳元で聞かせたい
 青江(チョンガン)のオシドリとなって
 互いに呼び合い、行き来をしながら
 やさしく、情があることを
 夫の目に見せてあげたい
 三春の胡蝶となって
 香りの染みた二つの羽で
 春の光を自慢して
 夫の衣に留まっていたい
 澄んだ空に明るい月となって
 夜になれば帰って来よう
 明るい、明るい、もっと明るい光で
 主の顔を照らしたい
 この私が恋い焦がれ、心が腐るほどの血で
 夫の姿を描き上げて
 部屋戸の前に掛け軸にして懸けておき
 出入りしながら見たいものです
 守節貞節の絶世の美人が
 惨めなことになったものです
 いろどりの美しい荊山(ヒョンサン)の白玉が
 埃の山に埋もれているかのように
 香わしい商山草(秦始皇の時代、乱を避け商山に隠れ延命した紫芝草)が
 雑草の中に混じっているかのように
 梧桐(あおぎり)の中で遊んでいた鳳凰が
 いばらの薮の中で巣をつくるように
 昔から聖者や賢人達も罪なく国におられたが
 尭舜禹湯(ヨスンウンタン)の国の王様も
 桀紂(コルチュ:中国の暴君達)の暴虐によって
 ハムジン刑務所に監禁されていたが
 再び出て来て、聖君となられ
 明徳治民(民をよく治めること)の周文王も
 商紂(サンチュ)の害を被って
 監獄に監禁されていたが
 再び解かれて聖君となり
 万古の賢人である孔子も
 魯(ロ)の国の李氏の家臣のたたりを被り
 匡野(クァンヤ)で監禁されたのですが
 再び解かれ出て大聖になられました。
 罪のないこの私も
 助かって外でまた歩くことが出来るでしょうか
 もどかしく怨めしいことです
 私を助けてくれる人はどこにいるのか
 漢陽にいらっしゃる私の夫
 官庁より降りて来て
 このように死への道にある
 私の命を蘇らせることは出来ないのでしょうか
 夏雲には奇妙な雲が多いのですが
 山が高すぎるために来られないのでしょうか
 金剛山の最高峰が
 平らになればいらっしゃるのかもしれませんね
 屏風に描いた黄色の鶏が
 二つの羽をはばせたかせ
 午前二時頃に
 夜が明けたと鳴いたなら、おいでになるのでしょうか
 あぁ、あぁ、私はここにいます!」
  竹の窓を開け放つと、明るく清らかな月の光が、獄房の中を差すのです。春香が一人座って、月に尋ねてみるのです「月よ、見えるか? 主のいらっしゃる所を明るい精気で照らしてあげて。私もちょっと見てみたい。私の主が寝ているのか、座っているのか。見たままを教えて、私の憂いを消しておくれ」

 

(つづく)

サルプリ

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