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●ラブストーリー春香伝 (2009.8.25) 

(18)貞烈(チョンヨル)夫人になった春香

 次の日、照数(数を合わせてみること)の終わりに、近くの邑(むら)の守令(スリョン)が集まって来ました。雲峰営将(ウンボンヨンジャン)、求礼(クレ)、谷城(コクソン)、淳昌(スンチャン)、玉果(オックァ)、鎮安(チナン)、長水(チャンス)の郡守達が順に集まって来たのです。左側の行首軍官、右側の庁令(チョンリョン)使令(サリョン)、真ん中の本官が主人となって、召使を呼んで言いつけるには、
「妓生(キーセン)を呼んで茶菓の膳を上げろ。肉庫子(ユッコジャ:地方官庁へ牛肉を納めていた官奴)を呼んで大きな牛を殺し、礼房(イェバン)を呼んで鼓人(コイン:太鼓叩き)を待機させ、承発(スンバル)を呼び日除けを張らせろ。使令を呼び、用のない者は入れるな」

 このように騒がしくしていると、旗織軍物や六角風流(音楽)が空中に飛び交っていて、青や赤の絹の衣装を着た妓生達が、絹の袖をとおした白い手を高く上げ、舞を舞い‘やんやそれそれ’とはやす掛け声をかけていました。御史(オサ)殿の心は乱れて落ち着かなかったことでしょう。
「おい! 使令ども! お前達の員前(守令)に申し上げろ。遠い所からきた乞食が、この立派な宴会にやって来たので、酒肴でもちょっと貰いたい、と言っていると申しあげろ」  
すると使令は
「どの両班だ? 私達の案前(下級官吏にとって主人を呼ぶ言葉)が乞食を入れてはならぬと言われたのだから、そんなこと言われてもな」
背中を力一杯押し出してみたが、どうして名官でないのだろうか。

 雲峰(ウンボン)がその様子を見て、本官に請うて、
「あの乞食の衣服と冠はぼろぼろだが、両班の末裔(まつえい)のようです。末席に座らせて酒盃でも与えて帰してはどうでしょうか?」
「雲峰の言う通りにしようかな‥‥」
と,言ったのですが、“‥かな‥‥”という言葉は後味が悪い。御史殿は腹の中で“よし、盜みは私がする。お縄はお前がちょうだいしろ(悪事で得たもうけは自分がとり、罪は他人に負わせる”とつぶやきました。
  雲峰が仰せつけて、
「その両班にお入りになるように言え」

 

 御史殿が入って行き、きちんと座り左右をよく見ると、堂上の守令達は全員、茶菓膳を前に置いて、晋陽調(チンヤンジョ:パンソリ調子の中一番遅い調子)が高揚していくのでした。御史殿が膳を見るとどうして憤慨せずにいられるでしょうか。縁が欠けた犬の足膳(安物の膳の一種)に、楮(かぢのき)の箸、大豆もやし、カクトゥギ、丼一杯のマッコリが置いてあるのです。膳をぼんと足で蹴飛ばしました。雲峰がカルビをむさぼっていて、
「カルビを一本食べたい」
「脚もお召し上り下さい」
などといいながら、雲峰が話し出しました。

「このような宴で、風流に遊ぶだけでは面白味に欠けるので次韻(チャウン:他人の韻を取って詩を作る遊び)でも一首づつ作ってみてはいかがでしょう」
「それは面白いな」
というので、雲峰が韻を出したのですが、高いの【高(コ)】、油の【膏(コ)】の二字を出しておき順に韻に従って詩を作る時に、御史殿が言うには、
「乞食も子供の頃、抽句(チュク:詩の中から良い句節を選んで編んだ本)数巻くらい読んだことがありますので、このような大宴に来て、酒肴を腹一杯食べ、このまま去っていくのでは身勝手なので次韻を一首作りましょう」

 雲峰が喜んでそれを聞き、筆と硯を出してくれたのですが、宴会にいる客はまだ詩作がまとまらないうちに御史殿が文を二句作りました。民情を思い、本官の政治を思って作ったのでしょう。

 金の水がめの美しい酒は 一万の百姓の血だ
 玉の膳の美味しい肴は 一万の百姓の脂(膏:コ)だ
 ろうそくの涙が落ちる時 百姓の涙が落ち
 歌声の高い所には 怨みの声が高かった

 このように作ったが本官は見ても分からず、雲峰が文を見て心の中でふと気付いたのです。
「しまった!これは事件だ。」この時には、御史殿が別れのあいさつをして去って行った後だったのです。そして公兄(コンヒョン:府の戸長、吏房、首刑吏の参官属)を呼んで仰せつけるのです。

「おい! 事件が起きたぞ」
工房(工典を受け持つ官庁)を呼んで宴の席を注意して見渡し、兵房を呼び駅馬を取り調べ、官庁の部署を呼んで茶啖(タダム:客のもてなしに出す茶菓など)を取り締まり、牢獄の刑吏(ヒョンイ)を呼んで罪人を調べ、執事を呼んで刑具を取り締まり、刑房を呼んで書面と帳簿を確認し、使令を呼んで合番(合同宿直)を取り調べ、しばらくの間このように騒々しくいり乱れている時、わけもわかっていない本官は、
「おい、雲峰はどこに行かれていたのですか?」と尋ね、
「小便をして来ました」と聞くのでした。

 そして、本官が仰せ付けるのです。
「春香(チュニャン)を急いで上がらせろ」
と言って酒乱が始まったのです。
この時、御史殿が合言葉を告げ、胥吏(ソリ:御史の家来)に目配せをするのです。胥吏と中房(チュンバン)は駅卒(ヨクチョル:御史の家来)を呼んで、回りを注意して見渡し、ぬかりなくこちらに行ってはひそひそし、あちらに行ってはひそひそと手はずを整えていたのです。

 胥吏と駅卒の姿は、潜伏していた時の姿ではなく、一筋の糸で編んだ上等の網巾(もうきん:頭巾)、絹の包み布、新しい竹編み笠を深くかぶり、三尺する木綿の脚巻きを巻き、新しい草鞋(ぞうり)に汗衫(ハンサム)、袴衣(コウィ)をこざっぱりと着て、六角の棍棒に鹿皮の紐をつけたものを手首にかけて握り、こちらにひらり、あちらにひらりとさせました。すると南原府はどよめくのです。

 チャンパ駅卒を見てみると、月のような馬牌(マピ:王様の使いである証明書)を持って日の光のようにぴかりと光らさせ、
「暗行御史(アーメンオサ:潜伏調査のオサ)の出頭だ!」
と、怒鳴りました。その叫び声に山や川が崩れ天地がひっくり返るような、草木禽獣(チョモククムス:植物、動物、鳥)といえども、すべてがどうして震え上がらずにいられるでしょうか。

 南門で、
「出頭だ!」
 北門でも、
「出頭だ!」
 東西門で、出頭の声が晴天に響きわたり、
「公兄(コンヒョン)たち!」という叫び声に六房が呆然とするのです。
「公兄です!」と出てくると、待ち構えていたように鞭で打たれるのです。

 藤の鞭でびしびしと叩くと、
「うぎゃぁ死ぬ!」と叫び、
工房が鋪陣(ポジン:宴の席)に持って入って来て、
「やろうとしない工房に、やれと言っていたがあの火の中にどうして入って行けるか?」  
と藤の鞭でびしびし叩くと、
「うわぁ裂ける!」と大声を出しました。

 座首(郷庁の長)、別監(座首の次の位)は呆然とし、吏房、戸長も呆然とし、青や赤や黄の衣装を身につけた羅卒(ナチョル)達は忙しくふるまうのです。  
 守令達が全員逃亡する時、その行動をちょっと見ます。
印櫃(官庁で使う道具)を忘れ、薬菓(菓子の一種)を持ち、兵符(出兵の割符)の代わりに松餅を持ち、宕巾(タンゴン:下冠の一つ)の代わりにざるをかぶって、帽子の代わりにお膳をかぶって、刀の鞘をつかんで、小便をしようとあたふたとしているのです。こわれるのは琴で、裂けるのは太鼓と長鼓だったのです。本官は糞をもらし、むしろの穴から出たハツカネズミが目を開けたような顔をして内庁に入って行って、あわてすぎて
「おー寒い。門が入って来るから風を閉めろ。水が渇いたから喉をくれ」
と言うのです。

 官庁の部署の者たちは膳がなくなったので、門扉を頭にのせて走り出そうとするのですが、胥吏と駅卒が飛び掛かってつかまえ、びしびしと叩くのです。
「うわぁ、死ぬよ!」

 

 この時、御史殿が仰せ付けられるには、
「この府は大監がお座りになっていた府だ。古い話を禁じ客舍を現龍城館へ移せ」
と行って座についた後で、
「本官は封庫罷職(ポンゴパジク:罷免し官庫を使えなくすること)にしろ」
と仰せつけると、
「本官は封庫罷職だ!」
と言って、四つの大門に公示文を貼り、獄刑吏(牢獄の監視人)を呼び、仰せつけるのです。

「お前の府の獄囚をみんな連れ出せ」
と命令して罪人を連れ出し、全員にそれぞれ罪を問い直した後で、罪のない者は放してやることにしました。そしてその時、
「あの女は何者だ?」と聞くのです。

 刑吏が申し上げるには、
「妓生(キーセン)月梅(ウォルメ)の娘で官庁の庭で暴悪に振る舞った罪で獄中にいるのです」
「何の罪だと?」
刑吏が申し上げるに、
「本官使道の守庁(寝室に侍ること)に呼ばれたのですが、守節貞節といって守庁をどうしてもしないと言い張って官庭で暴悪なことをした春香(チュニャン)でございます」

 御史殿が仰せつけるに、
「お前は守節するといって官庁で暴悪を行ったといわれているがそれで生きていられると思うのか? 死んで当たり前だが私の守庁の命令にも逆らうか?」
春香はそれを聞いて呆れて、
「おりてくる官長ごとにみんな名官ですね。繍衣使道(スウィサド:暗行御史の別称)、お聞き下さい。断崖絶壁の高い岩に風が吹いて崩れ、青松緑竹の青い木は雪が降って変わるものでしょうか。そんな仰せはお止めになってどうぞ早く殺して下さい」といって、
「香丹(ヒャンダン)! 旦那様がどこにおられるか見てきて。昨夜、獄門まで来られた時にはくれぐれも頼んだのに、どこに行かれたのか、私が死ぬことを御存じないの?」

 御史殿が仰せつけて、
「顔を上げて私を見なさい」
と言われたので、春香が頭を上げて台の上をよく見ると、乞食としてやって来たと思った夫君が御史殿となって堂々と座っているのです。驚いて、半笑い、半泣きの状態で、
「何と嬉しいこと。御史郎君、嬉しいこと! 南原の村の内は秋節になり木の葉が落ちるようになりましたが、客舍に春がやって来て李花春風(イファチュンプン:すももの花を咲かせる春の風。香の恋する道令が出世した事)が私を生かしたのですね。夢かうつつか、夢だったら覚めてしまわないか心配になります」

 しばらくこうして喜んでいると、春香の母が入って来て、限りなく嬉しがり、その時の話をどのように話せるでしょうか。春香の気高い志操が光彩を放つようになったのですから、こんなにめでたい事はありません。

 御史殿は、南原の公事を片付けた後で、春香母子と香丹を漢陽(ハニャン)に連れて行きました。その時の威勢は堂々たるもので、世間の人達で誰が賞賛しない人がいたでしょうか。この時、春香が南原に別れを告げる時、いまや栄輝の身の上になったけれども、故郷を離れるので、一方では嬉しく、また一方では悲しく思ったのではないでしょうか。

 遊んで眠った芙蓉堂(ふようどう)よ
 お前はどうか元気でいておくれ
 広寒楼(クァンハンロ)や烏鵲橋(オジャッキョ)
 瀛州閣(ヨンジュカク)も元気でいておくれ    
 「春草が年ごとに青くなっても    
  王孫(おうそう)は再び戻ることはないのだ」
 というのは私に寄せて誦んだ詩だ
 みなそれぞれに別れる時
 万世無量(代々道が伝えられること)となし給え
 また会えるのはいつの日のことでしょうか

 この時、御史殿は左右道を回って民情を調査した後で漢陽に上り、御前に御挨拶をし、三堂上(サムダンサン:六曹の判書パンソ、参判チャムパン、参議チャムィ)に入り、仕えられて、書面や帳簿を調査し、正した後、王様は大いに賞賛されて、直ちに吏曹参議(イジョチャムィ:参議は正二品)、大司成(デサソン:成均館長、正三品)に昇進させ、春香を貞烈夫人(チョンリョルプイン)として定め、恩恵に感謝して退出し、父母の前に伺って、聖恩に両手を合わせて感謝をされました。

 その後、吏判(イパン)、戸判(ホパン)、左右領相(ヨンサン:王様のすぐ下の位の人)すべてを経て退職した後、貞烈夫人とともに百年の苦楽を共にし貞烈夫人に三男二女をもうけられ、みな聡明で父親より優れ、先祖代々継承して、職位一品として万世に伝えられたということです。

 

(終)

 

●春香伝(チュニャンジョン)解説

 神妙章句でこの「ラブストーリー春香伝」を掲載していった理由は、春香の一途な思いがあったからです。人の心はともするとふらふらしてしまいがちで、良い時期もあれば悪い時期もあります。特に昔はこの春香伝のように身分制度が厳しくあり、身分を越えての恋愛は本当につらいものでした。

 春香の才能ももともとのものというよりは母子家庭で育ち、母親の教育とともに努力して磨かれたものでした。そこで磨かれた才能はやがて信念となり、道令との出会いのあと「二夫に仕えず」という決心を貫き通す力となりました。そして終わりには王様が認める、国で一番の心がきれいで、貞操を守る女性という意味の貞烈夫人の位を授かり、幸せに暮らしたのです。これは前世が天国七つの星天、月宮の広寒殿(クァンハンジョン)の天女の生まれ変りだからこそかもしれません。

 もしかしたら、獄中で死んでいたかもしれません。もし新しい使道と結婚したとしても、それはそれで幸せになっていたに違いありません。誰でも縁があって良い人にサポートされれば、悪い人も良くなるのです。けれども結末は道令との大きな幸せをつかんだ終わり方でした。どんなことでも目の前の簡単な幸せに惑わされずに、さまざまなつらい苦労があっても、将来の明るい希望で芯を強くもって、真実の行動をとっていけば、必ず幸せが還ってくるのです。

 私たちの幸せはそれぞれが自ら磨き、努力してつくっていくものです。自分のオリジナルの幸せを貫き通し、後回しにせずに今やれば、必ずそれが戻ってくるのです。半端な気持ちでなく、春香ほどの力を皆がもっているので、それを自分で発見し、生かして、幸せになりましょう。

 そして、この春香伝を選んだもうひとつの理由は、この物語が生まれた韓国の全羅道(チョンラド)が私の故郷で、生まれた時から春香伝の物語を聞き、春香歌(チュニャンガ)のパンソリを聞いて、歌って育ちました。ページの最後に動画を紹介していたのは懐かしい韓国の伝統的な音楽の数々です。

春香の墓

春香祭り

 

300年以上経った今でも春香の墓は国から守られ、国の要人たちが次々と参拝し、春香を讃嘆しているのです。子孫も健在しています。
クリックすると春香祭の様子が見られるサイト(外部サイト)にリンクします。

 

 

 

次は 「ラブストーリー春香伝(17)」

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